損益分岐点の考え方

卓上カレンダーの日付にペンで書き込みをしている手元

年額プランが得になるか損になるかは、年間の割引額でも実際に使った日数でもなく、月額料金を何回支払うかで決まります。年額料金を月額料金で割れば損益分岐点の回数が出ます。例えば2ヶ月分無料のサービスなら分岐点は10回で、ちょうど10回払えば支払総額は月額払いと同じです。11回目からは年額が安く、10回に届かなければ月額のほうが安く済みます。

下の図はAmazonプライム(月額600円、年額5,900円)の例で、10回ほど払うと月額の累計が年額に並びます。

Amazonプライムで月額600円を払い続けた累計と年額5,900円を比べた折れ線グラフ。約10回で年額に並ぶ
Amazonプライムの例。月額600円の累計は、約10回で年額5,900円に並びます

ひとつ気をつけたいのが、「年間プラン」を月々払いで払う形です。1年分の支払いを約束する契約でありながら、12ヶ月の合計が一括払いより高くなるサービスがあります(DAZNのSTANDARDなら6,400円の差)。分岐点を計算するときは、一括払いの年額を使いましょう。

途中解約のリスク

机に広げた書類と電卓で計算をしている様子

年額プランのいちばんの弱点は、途中でやめても払った分が戻らないこと。分岐点の手前で解約すれば、そのぶん月額払いより高くつきます。解約金や解約の制限まで付くサービスもあるので、申し込む前に扱いを見比べておきましょう。

サービス名プランと料金途中解約したときの扱い
東洋経済オンライン年額 19,800円日割・月割精算での返金なし
ニコニコプレミアム年額 9,900円日割り返金なし、解約時点で一般会員へ移行(Apple ID決済は期限まで特典継続)
テレ東BIZベーシック年割 年額 11,760円途中解約不可、返金・日割り計算なし
GeForce NOWPerformance 12か月 年額 17,990円支払い済み料金は一部使用期間分を含め返金なし
Adobe CCCreative Cloud Pro 年間プラン月々払い 月9,080円14日以内は全額返金、15日目以降は残り期間の料金の半額が解約金
DAZNSTANDARD 年間プラン月々払い 月3,200円12ヶ月終了時まで解約できない
PlayStation Plusエッセンシャル 年額 6,800円初回の支払い日から14日以内ならキャンセルを申請可(返金は日割りで減る場合あり)、以降は返金なし
EA Play年額 6,000円日本在住者も14日以内なら無条件で全額返金
楽天マガジンWeb申込 年額 5,980円ユーザー都合のキャンセル・返金は不可

東洋経済オンラインの年額19,800円を3ヶ月で解約すると、月額払いより13,860円多く払うことになります(月額なら3ヶ月で5,940円)。返金がない以上、分岐点の10回を超えて読み続けられるかが分かれ目です。

もっと重いのは、解約金や解約の制限が付くケースです。Adobe CCの年間プラン月々払い(Creative Cloud Proで月9,080円)を半年でやめると、残り6ヶ月分の半額27,240円が請求されます。DAZNは年間プラン月々払いが12ヶ月終了まで解約できず、月間プランも解約には30日前の通知が要るため、シーズンオフにすぐ止められるとは限りません。

テレ東BIZの年割が1年単位で自動更新されるように、更新の扱いはサービスごとに違うので、申し込む前に各社の案内で確かめてください。

ジャンル別の割引

取り上げた20サービスの損益分岐点は約7ヶ月から約10ヶ月の間に収まり、割引がいちばん大きいのはゲームです。

ゲーム

ゲームは分岐点の低いサービスが多く、UBISOFT+とGeForce NOWだけは10ヶ月前後と動画・音楽並みです。

サービス名月額料金年額料金損益分岐点
Nintendo Switch Online個人1ヶ月 400円個人12ヶ月 3,000円約8ヶ月
PlayStation Plusエッセンシャル 850円エッセンシャル 6,800円8ヶ月
Apple Arcade月額 900円年額 6,000円約7ヶ月
EA Play月額 900円年額 6,000円約7ヶ月
UBISOFT+Classics 800円Classics 8,000円約10ヶ月
GeForce NOWPerformance 1,790円Performance 12か月 17,990円約10ヶ月

動画・音楽・スポーツ

このジャンルは年額が月額の10回分前後というサービスが中心で、DAZNだけが約8ヶ月と低めです。

サービス名月額料金年額料金損益分岐点
Amazonプライム月間 600円年間 5,900円約10ヶ月
YouTube Music個人 1,080円個人1年 10,800円約10ヶ月
Disney+スタンダード 1,250円スタンダード 12,500円約10ヶ月
Amazon Music Unlimitedプライム会員 1,080円プライム会員 10,800円約10ヶ月
LINE MUSIC一般 980円一般 9,600円約10ヶ月
AWAスタンダード 980円スタンダード 9,800円約10ヶ月
ニコニコプレミアム月額 990円年額 9,900円約10ヶ月
DAZNSTANDARD月間 4,200円STANDARD年間一括 32,000円約8ヶ月

ニュース・学習・制作

このジャンルも10ヶ月前後が中心で、Adobe CCのCreative Cloud Standardだけが約7ヶ月です。気をつけたいのは、試験の終了や仕事の繁忙で途中で止まりやすいこと。10ヶ月を超えて続くかを先に考えておくと失敗しにくいはずです。

長く払うほど単価が下がるプランもあります。NewsPicksには36ヶ月分を一括で払う3年割(39,000円)があり、月あたりは1,084円まで下がりますが、3年読み続けることが前提です。

楽天マガジンの年額5,980円はWeb申込のプランで、アプリ内課金には月額710円のプランしかないため、年額で契約するならWebから申し込みましょう。

サービス名月額料金年額料金損益分岐点
楽天マガジンWeb月額 597円Web年額 5,980円約10ヶ月
Adobe CCCreative Cloud Standard 月々プラン 10,280円Creative Cloud Standard 年間一括 72,336円約7ヶ月
スタディサプリベーシック 2,178円12ヶ月一括 21,780円約10ヶ月
東洋経済オンライン月額 1,980円年額 19,800円約10ヶ月
NewsPicks月額 1,850円年割 18,400円約10ヶ月
テレ東BIZベーシック月額 1,210円ベーシック年割 11,760円約10ヶ月

年額と月額の選び方

分岐点と解約条件を合わせると、決め手は月額料金を何回払い続けるかの見込みに絞られます。

年額が向くケース

  • 通年で使う動画や音楽配信:Disney+やYouTube Musicは分岐点が約10ヶ月なので、12ヶ月使い切れば2ヶ月分(Disney+のスタンダードなら2,500円)の料金が浮きます。
  • Apple ArcadeやEA Playを7ヶ月を超えて遊ぶ:分岐点は約7ヶ月なので、12ヶ月通せば月額払いより4,800円安く済みます。
  • DAZNでプロ野球やJリーグを8ヶ月を超えて見る:分岐点が約8ヶ月なので、それより長く見るなら年間一括払いのほうが月間プランより安くなります。
  • 仕事で経済ニュースを読み続ける:東洋経済オンライン(年額19,800円)とNewsPicks(年割18,400円)は分岐点が約10ヶ月なので、1年通して読む前提なら年額のほうが安く済みます。

月額払いが向くケース

  • 半年以内にやめる見込み:分岐点がいちばん低いApple ArcadeとEA Playでも約7ヶ月なので、半年以内なら月額払いのほうが安く済みます。
  • UBISOFT+やGeForce NOWを半年ほど遊ぶ:ゲームでもこの2つは分岐点が10ヶ月前後なので、半年で遊び終えるなら月額払いのほうが安く済みます。
  • 数ヶ月の制作案件でAdobe CCを使う:年間プランには解約金があるため、月々プラン(Creative Cloud Standardで月10,280円から)が安全です。
  • 試験までの数ヶ月だけ学ぶ:スタディサプリは12ヶ月一括21,780円で分岐点が約10ヶ月なので、試験が半年先なら月額払いのほうが安く済みます。
  • DAZNを特定の月だけ見る:2〜3ヶ月の観戦なら、見る月だけ月間プランを払うほうが総額を抑えられます。

通年で使うと言い切れるサービスは年額に、続くか読めないうちは月額から始めるのがおすすめです。